オペアンプなんもわからん
電子回路を勉強すると、トランジスタで躓き、次にオペアンプで躓く。最終的にアナログ回路が嫌いになる。という綺麗な流れがあります。私は嫌いにはなりませんでしたが、勉強しても何もわからんとなりました。
最近になってアナログ回路に向き合おうと思えるようになりました。教科書だけの勉強だと全く設計できるようにならなかったので、オーディオアンプを作りながら勉強していくことにしました。どうやら差動アンプを作るのが一般的なようなので、自分もディスクリートで作ってみようと思いました。
ここで言う差動アンプはオペアンプと同義で、オーディオアンプを設計することはマイオペアンプを設計するということになるわけです。手を付け出してみるとオペアンプまるで分からんという状態になったので頑張ってやっていこうと思います。
バイポーラトランジスタを使った差動アンプの解析
ここで書いてある内容は、正しさの保証がされていません。ご了承願います。(特にバイポーラの小信号モデルがあまりにも雑すぎる)
本当はバイポーラトランジスタの小信号モデルについては、入力抵抗を考慮しなければなりません。しかしこれを考慮すると計算がしんどくなってしまうので、どうせ入力抵抗は高いと割り切って無視して考えます。こうすると完全にMOSと同じになってしまうが・・・
最近の電子機器に搭載されるICの中には主にMOSFETが載っています。バイポーラトランジスタは昔使われていたトランジスタです。FETはガッツリ勉強しましたが、バイポーラはさっぱりだったので一通り勉強してから設計していきます。
そこで、こちらのサイトを見ながら勉強していきました。
しかし、電圧利得の式で詰んでしまいました。差動アンプの電圧利得は、入力を差動入力とし、出力をとすると、
となるらしいのですが、どうにも導出できないので考えました。
バイポーラトランジスタを使い、最小構成にした差動アンプは次のようになります。それぞれの素子の特性は揃っているものとして考えていきます。
まず、小信号等価回路に直すと次のように書き換えられます。ここで注意する点は、エミッタ側の定電流源はDCバイアスを掛けているだけなので、開放除去しているという点です。
ここで、ベース-エミッタ間の電圧に比例したコレクタ電流が得られることに注目すると、エミッタ電位をと置けば、
となります。次に、2つの電流源は同じ電流経路になるので、キルヒホッフの電流則を使うことで次のような関係になります。
そして、式を使い、を求めます。
電子回路の教科書で同相信号の平均をなどとして、上式の右辺を強引に置いていることがありますが、こういう式中に現れるからそうしているということが分かりました。
さて、次にとについては、オームの法則を用いて、接地点からの電位降下とみなすことで次のように求められます。
まず、について解くと、
同様にして、について解くと、
したがって、電圧利得は次のようにまとめられます。
\begin{eqnarray}
A_v = \left\{ \begin{array}{ll}
\displaystyle \frac{-R_{C} \cdot g_m}{2} & (v_{o1} について) \\
\displaystyle \frac{R_{C} \cdot g_m}{2} & (v_{o2} について)
\end{array}\right.
\end{eqnarray}
バイポーラの小信号モデルが色々省いているので間違っている可能性が高いが、電圧利得がそれっぽく出たのでこれでよいことにしよう。
また、教科書でよく出てくる差動電圧利得は結果の式から正の利得-負の利得を計算すると2倍されてとなる。
参考資料
[1] 氷精工房 アンプを作ろうか? その3-1 差動アンプ