電気科の苦悩

色々やっています

電験三種を受験した(二周目)

夏は電験のシーズン

 去年は直前の詰め込みで3科目合格できたので、2019年度は法規のみを受験しにいきました。勉強過程で法規の苦手意識を克服できたので、その方法について書き記します。

 

 

わたしの受験状況と感想

 平成30年度試験にて法規のみ不合格だったので、法規だけ受験する。また、三種と併せて二種も受験する。

 

TACのみんなが欲しかったの法規と電気書院のテーマ別がっつり学ぶ15年過去問法規を買って教科書を読み、問題を解き、を繰り返しました。

 

勉強していくうちに、法規は問題演習も大切だが、教科書の条文をひたすらに覚えることも大切だと思ったので、低圧高圧の架空電線の間の距離や地面からの高さ、接地工事の際の接地極の断面積などを暗記していき、どんどんできるようになっていきました。

 

TACの本を使い、赤シートを買って赤い単語を出来る限り暗記することが近道です。また、TACの本に載ってないけど重要な単語、単独運転、独立運転、造営物、建造物などの説明などを本に書き込み、どんどん出そうなところを覚えていくことが大切だと思いました。とにかく暗記です。

 

電技の条文は電車の条文や特高圧の条文以外はすべて重要なので、キーワードをとにかく暗記しましょう。過去問をやるだけだと新しい条文が出て絶望します。

 

法規はクソ

 法規は運ゲークソゲーなどと称されます。それぐらい難しいです。理由として、次のような事が挙げられます。

  • 過去問がほとんどあてにならない
  • 条文を暗記している前提で問われるえげつない穴埋め問題
  • 「法規」なのに「電力」の計算問題が出題される
  • 条文による判断問題が非常にいやらしい
  • 最近は新作の問題(電気事業法や電技に載っていない新しい概念についてなど)が出る

 twitterや周りの受験生の反応、自分で感じた難関と呼ばれるポイントはこのような点であると思いました。まずは一年分触ってみましょう。

 

法規の問題構成と合格点について

 次に、法規の問題構成と合格点についてまとめます。

問題の構成は次のようになっています。

 

  1. A問題 ×10
  2. B問題 ×3題(各問題に小問が2つ)

 

 A問題の基本的な出題内容は条文の穴埋め問題、条文を暗記して実例に対して判断する問題の2つが主なものです。ある程度出題される範囲は絞られています。

 

例えば問1なら電気事業法の問題だったり、中盤は電気設備の技術基準(通称電技)や電技解釈などから条文が出ます。ただし、問題のパターン化や使い回しは一切なく、過去問がそのまま出ることはありません。5~6年前の条文穴埋め問題の条文が使い回され、違うところが穴になって出るケースがしばしばあります。過去問をこなすだけではA問題を攻略することは難しいといえます。

 

 B問題は基本的に計算問題です。電線の引張荷重計算や%インピーダンスを用いた短絡電流計算、力率改善コンデンサを用いた力率改善の問題、電線の許容電流や遮断器の定格電流の計算、絶縁耐力試験、1線地絡電流計算などがあります。計算問題はパターン化されているので、過去問が有効です。電力の問題も解いておくと役に立つかもしれません。

 

配点は次のようになっています。

  • A問題・・・6点
  • B問題 問11(1)(2)、問12(1)、問13(1)・・・6点
  • B問題 問12(2)、問13(2)・・・7点

 

 要するに計算問題のウェイトが高いということです。従って、パターン化しやすく、配点のウェイトが重いB問題の攻略が法規合格のために重要になります。

 

法規を攻略しよう

 以上で電験三種法規の分析が終わりました。実際にどのようにして対策するべきかを考えていきましょう。

 

  • 参考書として何を使うべきか

 今のところ、TAC出版のみんなが欲しかったの法規または、オーム社の完全マスターのどちらか一方で良いと思います。

 

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みんなが欲しかったシリーズ

 

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 完全マスターシリーズ

 

 私は分かりやすいが、内容が絞られているTACのみんなが欲しかったシリーズを使いました。

 

 また、TACの本には問題集が付属していますが、ボリュームが少ないので問題集を一冊買いました。電気書院のテーマ別でがっつり学ぶ法規の15年というやつです。

 

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15年過去問シリーズ

 

 この本には過去15年間に出題された法規の問題が殆ど詰まっていて、類題ごとに分かれているので、知識が定着しやすいです。しかし、解説が分かりにくい所があります。TACの過去問題集を買っておき、分からなかった問題はTACの解説を見たほうが良いです。

 

  • 学習計画

 法規は参考書と問題集を交互に使うと勉強が捗ります。参考書を読むだけだと忘れますし、どこが出題されやすいポイントなのかが分かりません。逆に問題だけ解くと、意味不明過ぎて定着しません。

 

  • 計算問題対策

 TACの参考書は電気事業法電気工事士法とその他、電技、計算の4つの章に分かれているので、章が終わったら15カ年の該当箇所を解き、教科書を読み、問題集を解き、を繰り返していきましょう。

 

 最初に攻略すべきは計算です。計算問題を解く際に条文に触れるので、計算問題が解けるようになると条文中の用語が理解しやすくなります。(B種接地とA,C,D種接地の違いや電線の許容応力などが分かるようになるはずです)

 

 絶縁耐力試験や支線の風圧荷重、B種接地などの問題が出ます。まず教科書を読み、計算方法を確認したら15カ年で類題含め全てを解き、条文中のどの部分をどうやって使うと解けるかを体得しましょう。問題ごとによく使う条文の条件を覚えるような意識が大切。

 

計算ができるようになったらA問題の闇の世界へ

 

  • A問題(条文対策)

 序盤に電気事業法が現れる確率が高いです。頻出の穴埋め問題なので抑えましょう。設置、維持、運用や環境の保全などのキーワードがよく出ます

 

 殆どの問題は電技から出ます。おすすめの勉強方法としては、

  1. 参考書を読む
  2. 読みながら問題集を解く
  3. 電気設備技術基準をDLして出るところだけ覚える

 

の3ステップで勉強すると良いです。電気鉄道、特高圧に関する条文は読み飛ばし、それ以外は全て暗記する勢いで読み込みましょう。電技をどれだけ暗記できるかに合格がかかっている気がします。

 

電技の解釈や解釈の解説も適宜読みましょう。ただしこれらは非常にボリュームがあるので、気になるところだけ読むだけにしておきましょう。

 

elaws.e-gov.go.jp

 

  • 未知なる条文が現れた時の対処方法

 未知の条文の穴埋めが出たときは、文脈判断か電気系の法律用語っぽいものを選ぶかのどちらかで解けることがあります。とくに解釈や解釈の解説からの出題は電気の知識があると絞れることがあります。電磁誘導や静電誘導が起こった時の障害と対策などは覚えておくと得です。

 

受験してみた

 というわけで、一ヶ月程度法規の対策を行い、受験してみました。試験当日、人身事故が発生し、危うく試験会場に到着できないところでした。やはり余裕を持って一時間以上前に会場に入るようにしたほうが良いと感じました。焦ると人間は本当に胃が痛くなるものなんですね…

 

 受験した後の感想は、「クソむずい。これは落ちたぞ」といった感じです。twitterで検索をかけると予想通り、爆死した人が多かったようです。難化科目は翌年易化するという法則は崩れました。一体試験センターは何を考えているのでしょうか???

 

 内容に関しては、三種の前日に受験した二種の電力科目の計算問題の類題が出現してラッキーだった。レベル的には三種で妥当なものだったが、こんなことが実際に起こるのかと驚いた。条文の問題は基本的にはTACの教科書に書いてある内容がほとんどだった。過去問からそのまま出題みたいなものほとんど無かったので、狙い通り電技を暗記して良かった。B問題の計算問題では許容電流の際どい値を問われるものが出たため、悪意を感じました。

 

 自己採点した結果、70点程度取れていたのでやったーと安心しました。二種については電力のみがボーダーの2点ぐらい下回って落ちてしまった。来年は電力の勉強をしつつ二次試験の対策を進めていこうと思っています。