電気科の苦悩

色々やっています

第一級陸上無線技術士 無線工学B暗記メモ

初見難易度が高い無線工学B

 無線工学Bは一見すると難しそうですが,コツを掴めればそこまで暗記や演習を積まなくても仕上がるように感じました.2023年1月期の一陸技を受験した際に,うまいこと演習をこなすために必要だった事項をまとめます

 本記事では,最低限覚えたほうが良い式とハイパーパラメータ(暗記しないと死んでしまう固定の値)を列挙します.一夜漬けできるように暗記用の語録も記載します.

 次に,最低限の式から使えそうな公式を導出します.

 

 

 

お断り

ダイポールアンテナ→DPと略記してるところがあります.

 

ハイパーパラメータ

ダイポールアンテナインピーダンス

 \displaystyle Z=R+\mathrm{j}X=73.13+\mathrm{j}42.55

<強引な覚え方>

放射抵抗R=73.13・・・7と3.14(π-0.01)

リアクタンス成分X=42.55・・・4とニコニコ(2525)→2525から2を取って255

 

・自由空間のインピーダンス

 \displaystyle Z=120\pi

必要に応じて3.14を代入して計算すれば良いです.むしろこのままの方がπを約分できる可能性があるので有利だと思います.

 

・等方性アンテナ,微小DP,DPの利得

この図を書ければOKです.

基本的なアンテナ利得の関係

 

誘電率透磁率インピーダンス

 \displaystyle Z=\sqrt{\frac{C}{L}}

 

<覚え方>

分母と分子をひっくり返すことが良くあります.次のように考えると間違えなくなります.

 \displaystyle Q = CV  \leftrightarrow C=\frac{Q}{V}

なので,Cは[1/V]の単位.オームの法則(V=ZI↔Z=I/V)と照らし合わせて分子にCをつける.余ったLを分母に置く.

 

暗記すべき公式

特性インピーダンス3人集

・同軸のインピーダンス

同軸

\displaystyle Z=\frac{138}{\sqrt{\varepsilon _r}} \log \frac{D}{d}

まずは同軸から覚えましょう.138がポイントです.logの内部はクソデカ/小さいと覚えてます.

 

・平行2線路のインピーダンス

平行2線路

\displaystyle Z=\frac{276}{\sqrt{\varepsilon _r}} \log \frac{2D}{d}

<強引な覚え方>

同軸のインピーダンスと比べて,平行2線路→138*2=276が付き,クソデカ(D)×2になる.同軸と比べて2本線があるから,2倍となって得と覚える.

 

・ワイヤのインピーダンス

 

ワイヤ

\displaystyle Z=\frac{138}{\sqrt{\varepsilon _r}} \log \frac{2l}{d}

<強引な覚え方>

1本しかないので138.エレメント(アンテナになってる部分が2本に分かれてる)が2本あるので2l

 

・短縮率

線路の特性インピーダンスZ_0,DPのリアクタンスをXとする.

 \displaystyle \Delta = \frac{X}{\pi Z_0}=\frac{42.55}{\pi Z_0}

短縮されたあとのアンテナの長さlは,信号の波長から求めたアンテナの理想的な長さをl_0とすると,

 \displaystyle l =(1-\Delta)l_0

すごく計算がしんどくなる傾向になるので,後回しでも良いかも.

DPの設計をするときはこれを意識するといいかもです.

 

・実効面積の重要点

受信のときに考える!

 

・等方性アンテナの実効面積(絶対利得)

 \displaystyle A_e = \frac{\lambda^2}{4\pi}

<強引な覚え方>

「面積」なので分子に\lambda^2が付く.

絶対利得は1.(等方性アンテナが絶対利得の基準であるため)

 

絶対利得Gをもつアンテナの実効面積

 \displaystyle A_e = \frac{G\lambda^2}{4\pi}

<強引な覚え方>

絶対利得Gなので,アンテナの利得は1×G=G.従って,等方性アンテナのG

倍になる.

 

・電界

・等方性

 \displaystyle E=\frac{\sqrt{30P}}{d}

 

・絶対利得G

 \displaystyle E=\frac{\sqrt{30GP}}{d}

 

・微小DP

 \displaystyle E=\frac{\sqrt{45P}}{d}

 

・DP

 \displaystyle E=\frac{\sqrt{49P}}{d}

あえてDPを√49とすると,30,45,49(3の倍数,7の倍数の並び)と見て覚えましょう.

 

・パラボラアンテナ,ホーンアンテナの利得G

開口効率が\etaであるとき,アンテナの開口部の実際の面積(A*Bだったり,円の面積πD/4など)をAとすると,

 \displaystyle A_e = \eta A

これを実効面積の公式代入してGについて解けばOK.

 \displaystyle A_e = \frac{G\lambda^2}{4\pi}

 \displaystyle \leftrightarrow G = \frac{4\pi A_e}{\lambda^2}

 \displaystyle \leftrightarrow G = \frac{4\pi A \eta}{\lambda^2}

パラボラの利得とかは覚えなくて良いです.実効面積の式だけ分かれば導出可能です.

 

・SWRと進行波,反射波,インピーダンス

 

・最大最小

 \displaystyle V_{\mathrm{max}} = V_{\mathrm{for}} + V_{\mathrm{ref}}

 \displaystyle V_{\mathrm{min}} = V_{\mathrm{for}} - V_{\mathrm{ref}}

 

・SWR

 \displaystyle \mathrm{SWR} = \frac{1 + \Gamma}{ 1 - \Gamma} =\frac{V_{\mathrm{max}}}{V_{\mathrm{min}}}

Γの式からまず覚えましょう.SWRって結局何に使うの?って思う人がいるかも知れません.SWRはアンテナの性能を表す値として使われます.1が最高性能,∞が最悪性能となります.

 これらを踏まえると,全て反射(Γ=1)したときは分母が0となりSWRは∞.反射無し(Γ=0)の時はSWR=1になると確認して覚えましょう.その次にVmax/Vminを覚えましょう.

 

・反射

 \displaystyle \Gamma =\frac{Z_\mathrm{R} - Z_\mathrm{0}}{Z_\mathrm{R} + Z_\mathrm{0}} = \frac{V_{\mathrm{ref}}}{V_{\mathrm{for}}}

 

<覚え方>

SWRとΓの公式を見て,プラスマイナスを逆,分母分子を逆(全部逆と覚えてます).

ΓをZR(Γは負荷みたいなものなので)に置き換えて,余った方にZ0を入れる.

 

 

特性インピーダンスの一般式(分布定数回路)

 

 \displaystyle Z=Z_0\frac{Z_R+jZ_0\tan \beta l}{Z_0+jZ_R\tan\beta l}

 

 Z_\mathrm{R}Z_\mathrm{0}をどこに置くかが重要です.

まず次の式のようなイメージを持ちます.

★tanは虚数部,全体にZ_\mathrm{0}を掛ける.

 

青と赤が対,Z0が付く,tanβlが虚数部につく

 

 Z_\mathrm{R} Z_\mathrm{0}をこうやって置く.

 Z_\mathrm{R}のRは負荷の意味がある.RealのRでもあるから,ZRは分母の実部に置く.

青と赤が対,Z0が付く,tanβlが虚数部につく

上記のように覚えるといいかもしれません.

 

・ZQ

真ん中=√(左×右)

 \displaystyle Z_{\mathrm{Q}} = \sqrt{Z_\mathrm{0} Z_\mathrm{R}}

 

 

・反射損

 \displaystyle M=\frac{(1+S)^2}{4S}

 

・横に寝てる放物線

 \displaystyle y^2 =4fx

(y=ax^2型とはノリが違うので注意!)

 

語録

・開口面アンテナの領域

フレネル・・・4文字い→アンテナのく,近傍領域

フラウンホーファー・・・8文字い→アンテナのく,遠方領域

 

・パラボラ

グレゴリアン→グレゴリエン→グレゴリ楕円形状.

カセグレン→円ではないので双曲線

 

・アンテナの指向性測定

平面走行→ペンシルビームアンテナ→ペンで平面を書くから

円筒走行→ファンビームアンテナ→ファンは回るので

 

フェージング

干渉k形フェージングは周期が短い(VS回折)→干短(簡単)