電気科の苦悩

色々やっています

電験三種を受験した

電気科といえば電験

 電験とは、電気主任技術者試験の略です。電気系資格の中では最も難しいとされる資格の一つで、電験三種電験二種、電験一種の3つが存在します。難易度は三種が一番低く、一種が最も高く

三種<<<<<<二種<一種

のような難易度となっています。三種と二種の間には大きな難易度の壁があります。これは、三種はマーク式のみですが、二種以上はマーク式(一次試験)と記述式(二次試験)の2つに分かれているためです。マーク式は二種の方が簡単ですが、記述がえげつない難易度になっています。

 今回は三種の受験の体験記でも書いていこうと思います。今年、2019年は三種の法規を受験し、二種も併せて受験して、マーク式だけは突破しようと目論んでいます。

 

 法規の勉強についてはこちらからどうぞ。

kstak.hatenablog.com

 

 

 

 

電験三種の仕様

  • 理論 電力 機械 法規の4科目
  • マーク式
  • 100点満点中60点をとれば受かる
  • 科目合格制度有り

難易度はセンター試験の電気バージョンという認識が近いと思います。

 

 電験は科目合格制度がある。これにより、大体試験で60/100を取った科目は2年後の試験まで合格の状態が保留される。

 

 これを超えて、3年後の試験では復活してまたやり直しになってしまう。このような制度と試験の難易度の高さから電験スパイラルにハマる人もいるようです。1年目で機械合格、2年目で法規合格、3年目で理論合格のみだと、4年目で機械が復活し機械と電力に合格しなければ電験の合格証を貰えません。

 

三種を攻略しよう 2018

 受験料を六月に支払い、大学で色々やっているうちに試験日の三週間前になりました。そろそろ勉強しないとまずいというタイミングで秋葉原のBOOK OFFへ向かう。

 BOOK OFFにて専門書コーナや資格書コーナで物色し、使える本はないかと探したが無い。そのかわり、宗教勧誘に二回も引っかかった。この日は何も得られるものは無かった。見知らぬ人に連絡先を教えたりすることはあってはなりません。

 古本は駄目だったので、書泉で再度本を物色する。知り合いに紹介してもらった電験三種の本を発見。知り合いの知り合いはこの本一冊で一発合格したらしい。すごい。

 

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 買って勉強してみたが、分かりにくかった。四機について理解したかったが、これを読んでも理解ができない。既習の所をこの本で確認するような使い方をするのが正しく、新しい事項を学ぶには向いていない本だった。

 

分かりやすい本が無い

 電験三種の分かりやすい参考書が全く無い。大学で電気機器の講義の対策としてナツメ社の機械の参考書を買っていたが、分かりやすい要素が無い。これは、4機の解説の高尚な部分だけが詳しく、最も重要な機械が回転するときの振る舞いや、回転子や固定子がざっくりどんな巻き方でどう働くのかなどの基本的な部分が省かれているからだと分かった。

 

参考書をどうするんだ

 というわけで本屋で本をまた探した所、TAC出版のみんなが欲しかったシリーズを見つけた。これの電力と機械は本当に素晴らしい本だと思います(理論と法規ももちろnん分かりやすいです)。上記の従来型の参考書の問題点である基礎的な部分がたくさん書いてあります。

 

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 しかし、TACの本は簡単な事しか書かれていません。独学の難しい電力と機械をじっくりTACで勉強した後、余力があれば後述の完全マスターや専門書で知識を補うと良いと思います。

 

 TACよりも難しく、しっかり書いてある本は次の2つのシリーズが良いと思います。一つは完全マスター。

 

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 辞書のような分厚さです。持ち運びにはつらい重さ。内容は専門書には劣りますが、詳しく書かれています。しっかりやり込めば、二種合格も見えてくるらしい。

 

 2つ目は電験三種合格一直線。この本の著者は非常に簡潔で分かりやすい表現を好むので、個人的には良いと思います。しかし、内容は専門書寄りなので難しいです。完全マスターよりも薄く、本の後ろにある知識の補足の部分がとても良い。

 

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 問題をもっと解きたい時は、電気書院の理論の15年間シリーズが良いです。解説はかなり簡潔ですが、過去15年の問題が殆ど入っています。

 

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 過去問題集は、問題と解答が別々なものの方が良いです。片側に問題、片側に解答があるタイプでは、過去問演習中に答えが少し見えてしまい、使いにくいからです。探した所、2018年の8月頃には成美堂の過去問しかなく、仕方なく買いました。

 

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 一冊で5年しか入っていなかったので、古本でもう5年分買い、10年分用意しました。あまりお得な過去問題集ではありません

 

 現在、2019年4月では、TACが10年過去問題集を出しているので、そっちを買ったほうが良いです。解説もすごく分かりやすく、なにより問題と解答を分離できるので絶対に買うべきです。

 

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 他の本と比べると、問題1冊と4科目の解答それぞれ4冊ずつを分冊にできるのがなかなか良いです。持ち運びの時は、解答を1科目だけ持ち運んで解き終わったところだけ復習のために読み込む、という使い方でも十分に実力が付きそうです。

 

 最後におすすめな本は工業高校の教科書です。電気回路や電気機器、電力技術などの教科書が分かりやすいです。電験三種に限定されますが、試験範囲は工業高校の教科書内なのでこの選択は妥当な気がします。電験三種の参考書はだいたい教科書を参考書にしているような感じがします。

 

 教科書を見ると、微積が一切使われていません。この影響により、電験三種では微積に関する問はありません。しかし、微積を理解した方が納得しやすくなると思います。

 

 色々な参考書や問題集を上げましたが、私はTACのテキストと成美堂の過去問だけ買って使いました。物足りなくなったら買い足せば良いだけで、はじめからたくさん買う必要はありません。まずは本屋で立ち読みをして、相性の良い一冊を探しましょう。

 

合格へのプラン

 勉強開始が8月上旬で試験は9月上旬です。残り3週間しかないので、仕方なく理論と電力の科目合格を目標にし、あわよくば機械も受かれば良い、という事にします。法規は最も難しい科目なので、対策出来ないと判断して捨てました。

 理論は得意なので、電力は暗記が多く対策しやすかったので狙いました。機械は計算が多く、理解に時間がかかると思ったので避けました。

 

理論

 以下、4つの科目中に出てくる参考書や問題集はTACのみんなが欲しかったシリーズで、過去問題集は成美堂のものとします。

 電験の理論では、今後の科目との兼ね合いから、交流回路を重点的に学習しました。それ以外は適当でいいです。

 

 交流回路の以下の内容は絶対に外せません。

  • フェーザー法によるベクトル表記の書き方と応用の仕方
  • 各種の電力計算
  • 三相交流

 これらの内容を分かっていないと電力の問題を理解できなくなるのでしっかりやりました。

 

 ベクトル表記による解法はあくまで手段であって目的ではありません。つまりベクトル表記を理解したい!と思って勉強するものではないです。三相交流の相電圧-線間電圧の関係やRL回路の有効電力の解析などを行うための道具として使うと、自然と理解できるようになります

 

 各種インピーダンスの公式を微分方程式から導出し、交流電力も導出し、ベクトルと絡めて横断的に理解する事が大切です。自分なりに導出および解説ができるようになるまで基礎を学ぶべきです。

 

 上記を重点的に学習し、知識が不足する箇所を適当に確認し、過去問に移り5年ほど解いて問題に慣れて終わりにしました。

 

 交流の復習に2日程度、知識確認1日、過去問演習に4日で合計一週間程度勉強しました。

 

電力

 完全にTACに頼りました。3日ぐらいで参考書を読み切り、前半の発電設備は重要そうな概念や語句を適当に理解及び暗記し、後半の送配電の電圧降下の式や三相交流の接地方式と短絡電流の導出などを一通り導けるようにしました。

 

 電力は暗記科目と述べましたが、正確には暗記せざるを得ない分野と計算重視の分野がきれいに分かれている科目です。

 

 暗記は発電設備の仕組みや送配電の問題に対する対策点などです。計算は%インピーダンスや電力計算などです。計算で使う公式は導出できるものは全て導出しました。

 

 電力計算において、公式の暗記に頼るのは極力やめた方が良いと思います。その場限りの勉強になりますし、公式だけ暗記することは結構な苦行になるからです。私が最低限覚えていったものは、オームの法則ベルヌーイの定理、火力発電の効率の計算ぐらいです。ですが、本番前に頻出のものは暗記したほうが素早く問題を解けます・・・

 

 参考書を理解した後、TACの電力の問題集を全て解きました。語録系は電車移動中に全て解き、計算を家などでひたすら解きました。計算で分からなくなったら公式の導出からやり直し、基礎力をつけました。

 

 問題集が終わったら、過去問を7-9年程度解き、試験日になりました。結局、参考書読解に3日程度、問題集に5日程度、過去問に6日、計14日程度かけました。

 

機械

 試験前一週間から他の勉強の片手間に開始しました。パワエレや制御は初見で問題が解けるので、全くわからない4機のところのみじっくり読み、試験当日の昼休みに4機の問題をそれぞれ4題解いて終りました。

 

 試験に昼休みに勉強した単巻変圧器の問題が出たり、パワエレや論理回路などの既習かつ得意科目が多く出たので受かりました。完全に運が良かったから受かったと感じました。

 

法規

 法規は放棄

法規の攻略手順は、まず後ろの方に現れる計算問題を取ることです。残る法規の穴埋めなどは多分運ゲーです。😫😫😫

 TACの本を読んでもいまいち理解ができませんでした。時間が足りないのか、法規が難しいのか・・・・・・・

 

結果

 目標通り法規以外は受かった。2018の理論はとても難しく、落ちたと思った。法規も難化したらしい。難化科目は次年度以降、簡単になる傾向なので、法規はラッキーだったかもしれません。

 

 理論の難化した理由は、問1に力学と電磁気が混ざった面倒な問題が出た事とコンデンサの面倒な問題が複数あったからだと思う。

 

自己採点したところ、理論、電力、機械はちょうど6割程度の得点で科目合格し、法規は20点程度しか取れませんでした。合格点ギリギリでかすった感じなので、三週間で詰めるのは大変無理があることだと思いました。

 

まとめ

・電力と機械を勉強する際は、TACのみんなが欲しかったシリーズが分かりやすくておすすめ

・高度な内容を勉強したい場合は、電験三種合格一直線、完全マスターがおすすめ。個人的には一直線が好き。

・過去問演習は問題文と解答が分離でき、たくさん問題が入っているTACの過去問がおすすめ。